鈴木大拙 没後五十年記念 大拙と松ヶ岡文庫展 概要
平成28年7月から9月まで、多摩美術大学美術館(東京)において鈴木大拙 没後五十周年記念 「大拙と松ヶ岡文庫展」が開催された。
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「大拙と松ヶ岡文庫展」は、鈴木大拙が起居し研究を続けた松ヶ岡文庫に保管されている書籍や書簡、ゆかりの品々などの貴重な所蔵品から構成され、一般の方が初めて目にする資料も多く含まれている。
美術館の展示趣旨として、
1,鈴木大拙と松ヶ岡文庫の歩み
2,鈴木大拙と松ヶ岡文庫をめぐる人々
3,松ヶ岡文庫の文化財と新たに調査された江戸〜明治期の仏教図像版木と版画(初公開)
などの3パートをテーマとし、沢山の未公開資料と共に、多角的な展示が行われた。
今回の展示は、大拙の日常の素顔を感じる写真、貴重な映像資料を始めとし、大拙と松ヶ岡文庫設立に係った人々のビジュアルな紹介も多く含まれているので、鈴木大拙に何らかの関心のある一般の方々にも非常に興味深いものと思われ、また鈴木大拙と松ヶ岡文庫について知ることが出来る貴重な場でもあった。
図録は美術大学美術館の制作に相応しく、充実した編集と内容になっており、大拙と松ヶ岡文庫についての貴重な資料となっている。また、図録には松ヶ岡文庫の設立の大変詳しい経緯(文庫主任 伴 勝代 氏記述)、および、安藤 礼二 氏(多摩美術大学准教授)による「鈴木大拙の神秘哲学」、重松 宗育 氏(静岡大学・関西医科大学元教授)による「D・T・スズキとビート世代」も掲載されている。
展示 I 鈴木大拙の軌跡と遺物
大拙の生きた時代や動向、交友を伝える多くの写真、著作や原稿、草稿、遺品が展示された。
また今回のトピックとして、松ヶ岡文庫に保存されている貴重な16mmフィル映像の数本も会場の大きなスクリーン、数台のモニターにて常時流され、一般公開された。
生前の大拙の息吹を感じられるテレビ出演フィルムなどで大拙の足跡をたどる展示となった。
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展示 II 鈴木大拙の交友と松ヶ岡文庫
松ヶ岡文庫には大拙との縁による叡智の集いが見えてくる。盟友西田幾多郎、夫人ビアトリス、そして柳宗悦と古田紹欽。彼らは仏教学と哲学に響き合い、絆を深めた。
松ヶ岡文庫の設立にあたっては、国内外の協力と支援があった。本章ではこれらの深き縁や絆を辿ると共に、松ヶ岡文庫に残された書簡類から大拙と知遇を得た学者達、文化人との交流をひもといていく。(多摩美術大学美術館 図録より)
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松ヶ岡文庫より、実際の大拙の書斎回り一式が公開用に提供され、一般には見る機会が少ない「本物の書斎」が再現された。 机、文具、書誌などすべて、大拙と共に年月が刻まれた品々であり、大拙の空気感を感じる事のできる貴重な展示となった。
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展示 III 松ヶ岡文庫の文化財
松ヶ岡文庫には仏教学の研究に不可欠な経論や仏像など数々の文化財が収蔵されている。
観音菩薩半跏像(鎌倉市指定文化財)、その他の歴史的和書に加え、松ヶ岡文庫で所蔵している江戸〜明治期と考えられる数多くの版木も初めて公開展示された。
これらの版木は近年、多摩美術大学美術館により調査と本展に併せて版本の制作が行われたものである。
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本作は大拙の生前に彩色を施した版本があり、大拙の葬儀にその作品が懸けられている。
詳細の解説については「大拙と松ヶ岡文庫展」図録をお求めください。
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